敗戦までの受容史の諸断面
20世紀最大のプロテスタント神学者、カール・バルトの主著『教会教義学』は、欧米圏以外での全訳は今のところ日本語のみである。このことは、バルト神学がほぼ同時代的に日本に紹介され、広く強い影響を与えてきたことを端的に示している。
しかし問題はそれが、どのような影響だったかである。
本論文集では、バルト神学が日本に紹介され始めた頃から敗戦までの間、バルトの神学とその実存が各方面でどのように受容されたのか、あるいはされなかったのかを、バルトと長く深く関わってきた研究者たちが総括する。日本のプロテスタント教会の神学と実存のこれまでとこれからが問われる書。
【目次より】
序 戦前期日本におけるバルト神学受容についての問題提起 雨宮栄一
第1部 神学と教会
第一章 蘆田・橋本サークルによるバルト受容史 平林孝裕
第二章 日本神学校におけるバルト受容 佐藤司郎
第三章 高倉徳太郎とその継承者のバルト神学受容の現実と問題 森岡 巌
第四章 日本におけるバルト神学受容の《仲介者》エーゴン・ヘッセル 武田武長
第2部 大学と知識人
第五章 東大法学部におけるバルト受容 柳父圀近
第六章 九州におけるバルト受容 寺園喜基
第七章 「京都学派」の哲学とバルト受容 小川圭治
第3部 教会と社会
第八章 社会的キリスト教とバルト神学 須賀誠二
第九章 日本メソジスト教会におけるバルト受容 村上 伸
第4部 総括討論 日本の神学のバルト受容の諸問題
付 戦前期日本におけるバルト関連邦語文献表