フランスでもっとも愛される宗教者にして活動家アベ・ピエール*がその最晩年に、親しい友との対話のなかで訥々と語った。ほぼ一世紀にわたる大胆な活動のなかで培われた深い霊性と洞察力から発せられる、生きる目的とはなにかという根元的な問い、人間の欲望との葛藤、キリスト教の教義、またカトリックの司祭制、法王の姿勢などに対する歯に衣着せぬ問い。神と人への愛ゆえに、「神に異をとなえる者」。20世紀のユマニスト。
【本書まえがきより】
近年フランスのテレビ視聴者の投票で、アベ・ピエールは歴史上もっとも功績のある三人のフランス人に名を連ねました(ドゴール将軍、キュリー夫人についで)。彼がエマウスの創始者であることはすでに広く知られていますが、それ以前に彼はなにより、「神に異をとなえる者」であり、信仰者でありながら人間の惨めさや苦しみを甘んじて受け入れることを拒み、この世界が少しでも人間らしさを取り戻すために生涯を賭した人でした。
【著者について】
アベ・ピエール(Abbé Pierre)
1912年フランス・リヨン生まれ。第二大戦中はナチス占領下のフランスでユダヤ人を助け、レジスタンスとともに闘う。戦後は政治活動を行い、1949年に慈善協会「エマウス」を設立。その活動は世界に広がっている。フランスでもっともも愛される有名人の一人。2007年、94歳で帰天(国葬)。邦訳に、『遺言...』(人文書院、1995年)。
*アベ(Abbé)は、神父の呼称。したがって、アベ・ピエールは「ピエール神父」となるが、定着した愛称なのでそのまま用いている。
【目 次】
はじめに
プロローグ なぜこんなに苦しみがあるのか
1 なんのために生きるのか
2 愛と幸福
3 仏陀とイエス
4 欲望
5 性欲と貞操
6 司祭の独身と結婚
7 ヨハネ・パウロ二世の死......
8 ベネディクト一六世の即位
9 同性結婚と同性の両親
10 女性司祭の叙階は必要か
11 マグダラのマリア
12 イエスはマグダラのマリアと肉体関係をもったか
13 マリア――神の母かそれとも新しい偶像か
14 科学を前にして原罪をどう考えればよいか
15 テイヤール・ド・シャルダンという才能
16 イエス、人類の救い主
17 イエスの不在と臨在
18 聖餐、キリスト教共同体の中心
19 初期キリスト教に立ち戻る
20 福音書
21 三位一体
22 自由と超自由
23 罪
24 地獄は存在するか
25 歴史的啓示と不可視的啓示
26 宗教的狂信
エピローグ 神への手紙
訳者あとがき